AX

2018年 オモニ主日説教 石橋真理恵伝道師

 

母の祈り

彼女の表情はもはや前のようではなかった

サムエル記上1:1-28

 

全国教会女性連合会 総務 石橋真理恵

 

イスラエルに王がなく、それぞれ自分の目に正しいとすることを行っていた時代、サムエルが生まれました。サムエルによってイスラエルの民は一つとなり、イスラエル王国の建設が始まりました。

サムエル記上を通して、主がサムエルをどのように用い、またサムエルがどのように主に仕えたのか記されていますが、この偉大な指導者であり、信仰者であるサムエルの誕生には母ハンナの祈りがあったことを忘れてはいけません。サムエルは母ハンナの祈りによって生まれたのです。サムエル記上1章を通して母ハンナの信仰をともにみていきましょう。

1.ハンナの苦しみ

エフライムの地に住むエルカナには二人の妻がいました。一人はハンナ、もう一人はペニナで、ペニナには子どもがいましたが、ハンナには子どもがいませんでした。ハンナは夫から愛されていましたが不妊に悩み、ハンナを敵視するペニナは不妊のことでハンナを思い悩ませ、苦しめていました(6節)。

7節「毎年このようにして、ハンナが主の家に上るたびに、彼女はペニナのことで苦しんだ。今度もハンナは泣いて、何も食べようとしなかった。」ここからハンナの苦悩の日々が長く続いていたことが分かります。その苦悩は夫エルカナでも慰めることはできませんでした。長年思い悩み、苦しみの中で幾度となく涙をながしたハンナですが、今回は泣くだけでは終わりませんでした。

ハンナが取った行動は何でしょう。9節に「ハンナは立ち上がった。」とあります。ハンナはもう泣くだけではいられないと立ち上がったのです。この短い言葉にハンナの心の変化がうかがえます。

その場で立ち尽くしていても、問題の解決になりません。私たちも立ち上がる信仰が必要です。

2.ハンナの祈り

ハンナは立ち上がり、「悩み嘆いて主に祈り、激しく泣いた(10節)。」主に祈ったのです。その祈りの様子を見ていた祭司エリは、ハンナがお酒に酔っているのだと誤解するほどのものでした(12-13節)。

ハンナは主の御前に心からの願いを注ぎ出しました(15-16節)。どこにも向けることのできなかった心の苦悩が、主へと向いたのです。ハンナは「万軍の主よ、はしための苦しみを御覧ください。はしために御心を留め、忘れることなく、男の子をお授けくださいますなら、その子の一生を主におささげし、その子の頭には決してかみそりを当てません。」と誓いを立てて祈りました(11節)。

ハンナは神のみが一番の理解者であり、不可能を可能にすることができるお方だと信じていました。祈りの後、「ハンナの表情はもはや前のようではなかった(18節)。」とあります。まだ何も現実は変わっていません。しかし、祈りによってハンナの苦悩は消え去り、平安へと変えられたのです。これが祈りがもたらす力です。

私たちはどうでしょう。苦悩の中で心はどこに向くでしょう。ハンナは夫から愛され、苦しむ妻をエルカナは慰めます(8節)。しかし、夫の言葉もハンナの涙を拭うことはできませんでした。ハンナの心は主へと向きました。なぜなら、本当の慰めは神にしか与えられないからです。私たちの心は苦悩の中でどこに向いているでしょうか。

3.ハンナへの祝福

主の御前に心からの願いを注ぎ出したとき、主は彼女を御心に留められ(19節)、ハンナは身ごもり男の子を生みました。男の子の名をサムエル(その名は神)と名付けました。ハンナは誓いを果たすべくサムエルを主にささげました(24-28)。この決断は容易なことではなかったと思います。しかし、ハンナは息子サムエルを主にゆだねたのです。その後、主はハンナを顧みられ息子三人と娘二人を産みました(2:21)。主は、ハンナの心の傷を癒すだけでなく、イスラエルを一つにする偉大なリーダーの母という祝福をお与えになりました。一人の女性の祈りによってダビデ、ソロモンと続くイスラエル王国の基礎が築かれたのです。

ハンナの祈りを聞いてくださった神は、今も私たちの祈りを聞いてくださっています。時に涙を流し祈る時もあるでしょう。しかし、私たちの涙に力があるのではなく、涙の祈りを聞いてくださる神が力あるお方なのです。苦悩の中でも心を主に向け、主の御前に心からの願いを注ぎ出し祈る者となりましょう。

「わたしはあなたの祈りを聞き、涙を見た。」(イザヤ書 38:5)

 

Related Posts

  • No Related Posts