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石原都知事の差別発言への抗議文

 

私たちは、石原慎太郎・東京都知事の差別発言に抗議します

私たち在日大韓基督教会は、在日コリアンなど民族的マイノリティが多く集うキリスト教会です。私たちは、日本社会が在日外国人など多様なバックグラウンドをもった人びとが安心して暮せる社会となることを日々祈っていますが、石原慎太郎・東京都知事の発言によって、その思いと祈りが踏みにじられ、怒りと悲しみを覚えます。
石原都知事は、8月30日、2016年オリンピックへの立候補都市を決定するJOCでの投票前のプレゼンテーションにおいて、福岡市を応援するための同じくプレゼンテーションにて演説を行った在日二世の姜尚中・東京大学教授を「どこかの学者さん」と表現し、さらに、東京都が立候補都市に決定したことを祝賀するパーティーの挨拶の中で、「怪しげな外国人が出てきてね。生意気だ、あいつは」などと発言しました(『朝日新聞』2006年8月31日)。
私たちは、この発言は姜尚中さん個人への中傷に止まらない、在日外国人への差別発言であると受け止めています。東京都が開催地として立候補したオリンピックの憲章には、オリンピックの目的は「人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進すること」であり、「人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別はいかなる形」であれ、オリンピックの精神とは相容れないことが明記されています。今回のオリンピック誘致における石原都知事の発言は、このオリンピックの根本原則に反するものであると言えます。
また石原都知事は、9月15日に都内であったシンポジウムにおいて、国の治安対策を批判する中で、「不法入国の三国人、特に中国人ですよ。そういったものに対する対処が、入国管理も何もできていない」と、「三国人」という在日韓国・朝鮮人に対して差別的に使用されてきた言葉を用いると共に、中国人への差別・偏見を助長する発言を行いました(『朝日新聞』2006年9月16日)。
石原都知事は、6年前の2000年4月にも、陸上自衛隊の式典において、「不法入国した三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返しており、大きな災害では騒擾事件すら想定される」と発言しました。当初、「三国人」を辞書的な意味で使ったと弁明していた石原都知事も、批判を受ける中、「在日韓国・朝鮮人をはじめとする一般の外国人の皆さんの心を傷つけたのは不本意で遺憾だ」と述べました。しかし、今回の発言によって、その反省の言葉が真摯に語られたものではなかったということが明らかとなりました。
石原都知事が「三国人」発言をしたと同じ2000年11月に、東京都は「東京都人権施策推進指針」を発表しています。その発表にあたって、石原都知事は、国際都市の東京では、多くの海外から来た人たちが東京の生活に多様な文化や価値観などをもたらし、東京に魅力と活力を与えていることや、このような東京のダイナミズムを発展させていくためには、一人ひとりの人間の生命のかけがえなさと尊厳が認め合われなければならない、と述べています(「東京都人権施策推進指針の発表にあたって」2000年11月)。また、その指針においては、東京都が取り組むべき問題として、外国人に対する差別発言問題などが挙げられています。これまでの一連の石原都知事の発言は、この人権施策推進指針を発表している自治体の長みずからが、その指針とは逆行した発言をしたものであり、国際都市・東京の人権施策に与える否定的な影響は計り知れないものであると考えます。また、人種などによる差別や暴力の煽動を禁止した自由権規約や人種差別撤廃条約などの国際人権法にも反する発言であり、世界において東京都が「国際都市」であるとの認知を受けることを遠ざけてしまう発言であったと言えるでしょう。
私たちは、イエス・キリストを信じるものとして、神から与えられた生命はすべて尊いものであり、その与えられた生命を輝かすことが、私たちの社会が進むべき方向であると信じています。そのことが記された東京都人権施策推進指針やオリンピック憲章の精神に、石原都知事が立ち返り、今回の一連の発言を謝罪・撤回することを求めます。そして、東京都が真の国際都市にふさわしい人権を大切にする多民族・多文化共生都市となるべく積極的な施策を講じることを求めます。

2006年9月22日

在日大韓基督教会
総会長 李聖雨
社会委員会委員長 韓聖炫

 

 

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