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日本軍「慰安婦」問題の日韓政府間「合意」に対する声明

掲載日 : [16-01-30]   照会数 : 11598

日本軍「慰安婦」問題の日韓政府間「合意」に対する声明

私たちは、1980年代、人としての尊厳と自由を求めてたった一人の指紋押捺拒否の闘いから始まった外国人登録法改正運動に取り組むために集められたキリスト者たちです。その改正運動の中から、必然的に「外国人住民基本法」制定運動へとひろがりました。外国人登録法が廃止された今、私たちは、「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと、こちらの勝手」という日本政府の血統主義による異民族排除の論理と闘い、普遍的な人権の保障を求めて、「外国人住民基本法」の制定運動に取り組んでいます。

2015年12月28日、日韓外相は韓国ソウルにおいて共同で記者会見を開いて、日本側は、①軍の関与を認めて、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷づけた責任を痛感し、安倍内閣総理大臣は心からおわびと反省の気持ちを表明する、②韓国政府が設立する財団に日本政府が資金を拠出し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業を行う、③この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。また韓国側は、①この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認し、日本政府の実施する措置に協力する、②日本大使館前の少女像(正式名称は「平和の碑」)の問題を適切に解決する努力をするとし、両国とも今後国際社会で互いに非難・批判をしない、と発表しました。(以上、日本外務省ホームページより抜粋)

長いあいだ隣国同士でありながら首脳会談を開けない要因であった日本軍「慰安婦」問題に関して、合意文書なし、「慰安婦」被害者抜きの突然の合意の内容に、私たちはその不実さに唖然とすると同時に、強い憤りを感じています。すぐさま被害当事者から非難の声が挙がったことは当然のことです。

今回の合意は、かつて起こされ今も続いている酷い人権侵害の解決とはほど遠い両国間の申し合わせにしか過ぎないものです。日韓米3カ国による東アジア安全保障体制強化を主眼とした政治決着としか言えず、戦後一貫して過去の歴史に対する責任の受容を拒否してきた日本政府の姿勢がより一層鮮明になり、安倍晋三首相個人の歴史認識と歴史に対する態度に沿ったものになっています。今回の、加害と被害の立場を逆転させたような押し付けの合意内容に対して、私たちはその撤回と更なる交渉の再開を求めます。特に日本政府に対して、自らの歴史に誠実に向き合い、間違いは無かったこととするのではなくまた「水に流す」のでもなく、間違いとして責任を認めて償うことでしか解決を図れないことを認めるように要請します。

すでに2014年6月、8カ国の被害者とその支援者が、第12回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議において協議して採択した「日本政府への提言」が、学者や市民の努力で集められた日本軍「慰安婦」関連公的資料529点と併せて提出されております。金学順(キム・ハクスン)さんの告発以来、四半世紀の間、「戦争犯罪の認定、真相究明、公式謝罪、法的賠償、犯罪者処罰、歴史教科書記述、追悼碑と資料館の設立」を求めてきた被害女性たちの訴えに、真摯に耳を傾け、真に「不可逆的」な解決を図られるように私たちは求めます。

2016年1月30日
外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)


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