「東日本大震災と外国人」を主題に国際シンポジウムを開催
7月25~26日、「東日本大震災と外国人―日・韓・在日教会の宣教の課題」を主題として、第15回外登法問題国際シンポジウムを在日本韓国YMCAで開催した。このシンポジウムは、1990年から日・韓で交互に開催されてきたもので、「韓国基督教教会協議会(韓国NCC)正義と平和委員会」と「韓国教会在日同胞人権宣教協議会」から8人、「外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会」の各地外キ連および各教派・団体から29人が参加した。在日大韓基督教会からは総幹事、社会委員長をはじめ9人が参加。
今回のシンポジウムでは、①東日本大震災の被災者・被災教会への支援、とりわけ被災外国人への支援の現状と今後の課題について協議する、②「韓国併合」から101年を迎えて、在日韓国・朝鮮人の1世紀にわたる歩みが「現在」に問いかけている意味を共有すると共に、いまだなされていない日本の歴史責任の課題を確認する、③社会において周縁化され、脆弱な生活基盤すら金融危機と大震災によって奪われようとしている旧植民地出身者、移住労働者、移住者の困難な現状を直視し、日本と韓国における外国人の法的地位と権利を保障する課題を、日・韓・在日教会の宣教課題として協議する――ということを目的に掲げられた。
洪性完・在日大韓基督教会総幹事による開会礼拝のあと、佐藤信行氏(RAIK)の報告「東日本大震災と外国人住民」、李海学牧師(韓国NCC正義と平和委員会委員長)の聖書研究「シリア・フェニキアの女の話をとおして見たこの時代の遠隔治癒の課題」、有川憲治氏(カトリック東京国際センター)の報告「被災地での外国人」、香山洋人牧師(日本聖公会司祭)の発題「日本における宣教の課題と記念の神学」、パク・チョヌン牧師(韓国NCC正義と平和委員会委員)の発題「キリスト教多文化運動としての地域社会多文化政治」を受けたあと、日・韓・在日教会の共同課題について協議した。
そして今後の課題として、①被災した在日韓国・朝鮮人高齢者への生活支援、②日本人と結婚あるいは死別した外国人被災女性に対する精神的ケアと生活支援、③被災した外国籍の子どもへの就学支援を行なうことなどを、共同宣言で確認した。
韓国教会からの参加者8人は翌日、被災した宮城県に向かい、在日大韓基督教会震災対策委員会の許伯基牧師の案内で、東北ヘルプ(仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク)や宮城県国際交流協会などを訪問して、外国人被災者の状況をうかがいながら、これからの共同課題について話し合われた。【報告:RAIK】
2011年7月26日