第10回歴史講座
去る9月19日(木)、KCC(大阪)にて「第10回歴史講座」が開講された。金健牧師(歴史編纂委員長、川崎教会)の司会により、講師である李清一名誉牧師(歴史編纂委員会協力専門委員)を紹介された。李牧師は、「外部研究者・資料に見る在日大韓基督教会(KCCJ)-1945年以降を中心に-」という主題で講義した。
はじめに、「在日大韓基督教会(KCCJ)の宣教100年の歩みを外観し、戦前戦後の固有性」が考察された。特に「60周年以降を分岐点とし、それまで個人の魂の救いのみに関心が寄せられていた傾向から、底辺にいる被差別、弱者に目が向けられていく宣教的姿勢の転換」がなされた。次に、「KCCJに関するキリスト教界内外の論文・資料を通して、KCCJの存在の検証」に焦点があてられた。その内、キリスト教界側からの論文を紹介した。(『福音と世界』、2005年9月号、東海林勤)。またキリスト教界外からの論文の中で、特に印象的なものは、『在日韓国人-生活実態を中心に』、李光奎、1983年)であった。
講義の最後には、李牧師が、KCCJの概観を通して「在日大韓基督教会は、『在日』という歴史的な状況をキリストの福音信仰と関係づけながら、その歴史を形成した。戦前における固有性として、「教会員の流動性と教会の不安定」、「福音信仰における純粋性と民族的性格」という特質を持ったこと。戦後においては、今日「マイノリティ性、多様性、エキュメニカル性に、その固有な特質を見ることが出来る」、また外部研究者の論文・資料を通して「キリスト教関係者からは、主にKCCJと日本のキリスト教関係におけるKCCJの存在性について示唆を与えられた。非キリスト教関係者の諸論文を通して、<在日>社会の広がりにおける宗教の果たした役割として、<KCCJ>が論じられていることを知った。このような視点は、KCCJに欠如しがちであった視点であるといえる。いずれも今後のKCCJ史を整理する上で、またKCCJの宣教政策を展望する上で、示唆に富むものである」と要点をまとめた。
また、質疑応答の時間が設けられ、金武士牧師と外部の参加者などからの質問がなされ、それに対する的確な講師の応答があった。このような歴史を学ぶことにより、根を深く張ることが許され、在日韓国人キリスト者としての喜びを改めて感謝する一時であった。
(報告:金承煕)