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掲載日 : [14-07-11]   照会数 : 4110




状況は緊迫していた。社会問題声明案を審議するWCC社会問題委員会の中で、すべての声明文案は委員たちの全員の同意を経て本会議に送付されるのだが、この脱原発声明文に関しては、強硬に反対する有力な委員が何人かいたのである。(そのうち一人は英国国教会のフォスター主教という方で、英国の原子力政策に深く関わる国会議員でもあるという)

声明文案は本会議に上げられることになったものの、その採択は微妙な情勢だった。声明文の採決を目指す世界各国の有志は、連日「ネットワーク・コーヒー」という集いを会場内のカフェで繰り返し、対策を練った。日本基督教団の総代である伊藤瑞男副議長や、東北ヘルプの川上直哉事務局長などと共に、私もその集まりに加わって、この声明文の採択のために総代として出来ることを確認し合った。(WCC総会への日本からの総代は、実はたった3名のみ。WCC加盟教団である日本基督教団、日本聖公会、そして在日大韓基督教会の各教団から一名ずつである)

神の創造秩序を破壊し、あらゆる生命を蝕み、人の命と引き換えに利潤を得ようとする人間の傲慢の極みの一つのかたちである原発行政に、私たち信仰者はどうあっても反対を訴えなければならない。7年に一度しか開かれないWCC総会が、はじめて東北アジアで開催されたこの機会に、ヒロシマとフクシマの教訓をWCC声明文として必ず刻まなければならない… そのような一致した思いが、その集いの場に満ちていた。

本来もっと早いタイミングで審議されるはずだった脱原発声明文は、ずるずると後回しにされ、閉会直前の最後の本会議へとずれ込んだ。機会さえあれば「原発被災地の居住者」として、総代権を活かして発言しようと1分半の原稿を準備して用意していた。最終日の朝に出立することになっていた私は、この最後の本会議に参加するために、帰りの飛行機のチケットを捨てようかと迷った。が、まわりの人の「おそらく問題なく採択されるだろうから、心配するな」との助言に、後ろ髪を引かれる思いで釜山を後にした。

後に聞いたところによると、時間切れギリギリに行われた討議では、採択反対派から一人、賛成派から一人の発言が許され、反対派からは前出の強硬反対者であるフォスター主教が発言をした。そして賛成派の発言者は当事国である日本からではなく、なぜかドイツの代議員が選ばれた。前日に帰国した伊藤副議長に代わって日本基督教団総代となった木谷佳楠牧師は、追加の発言の機会を求めて、マイクの前で手を上げてアピールし続けたが、結局そのまま審議は打ち切りとなった。結果的に、本会議で声明文は採択されず、採択の可否はWCC中央委員会に付託されることになったのである。

(次号に続く)
(報告:許伯基牧師 つくば東京教会/総会事務局幹事)


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