熊本だより 〜被災地支援活動に参加して〜
許伯基牧師(京都南部教会・熊本地震被災者支援プロジェクト委員)
6月8日から11日にかけて、熊本地震被災者支援プロジェクトの委員の一人として、熊本を訪問しました。同行者は日本基督教団龍ヶ崎教会の飯塚拓也先生と、大阪KCC幹事の申容燮牧師任、そして博多教会の尹善博牧師任でした。今回の訪問は、熊本教会のボランティアの働きのために、車両の提供を申し出てくださった飯塚先生とともに、関東から熊本へ車両を移動する、というミッションも兼ねていました。夕方の会議終わりから車を走らせ、たった一人で京都まで運転された飯塚先生の行動力と体力に心から敬意を表します。また多少古いとはいえ、とても程度の良いピカピカの車を、わざわざ整備までして提供してくださったことに、心から感謝いたします。
6月9日(木)の午前中に、教団九州教区議長の梅崎浩二先生をお迎えして、今後の被災者支援の方向性について話し合われました。確認されたのは、西南地方会も九州教区も、お互いに組織的な問題を抱えていて、なかなか動きづらいこと、しかしなんとか協力して被災者支援への第一歩を歩み出したい、という思いを互いが強く持っていることでした。わたしたちの熊本教会をボランティアセンター化する可能性についても、突っ込んだ議論が行われました。
その後の2日間にかけて、実際に被災者支援の働きにも携わることが出来たことは、大きな恵みでした。現地で支援活動を続けておられる金聖孝牧師任(熊本教会)は九州臨床宗教師会が主催する「カフェ・デ・モンク九州」の一翼を担っておられます。これは、被災者の方々がほっと一息つきながら胸の内を吐露することの出来る「無料カフェ」の活動で、訪問者である私たちもこの活動に加わらせていただくことが出来ました。実際に目にした益城町近辺の建物被害の状況は、想像していたよりもずっと激しく、純粋な地震被害としては、東日本大震災よりもひどい、というのが私の印象でした。一方で、建物被害に劣らないほどひどいのが、被災者の方々の心の傷でした。2ヶ月経った今でも建物の中にいるのが怖くて、車中泊やテント泊を続けている人たちが、かなりおられる、ということを、カフェの活動を通して初めて知ることが出来ました。
すでにバリバリと活動している各教派・団体のボランティアセンターの訪問もしました。特に印象的だったのは、聖公会の聖三一教会に設置されたボランティアセンターでした。このセンターでは、いろいろな制約のある社会福祉協議会のボランティア窓口に頼るのではなく、自力で活動場所を開拓しています。益城町で被災者の方々に手作りのおかずを渡したり、飲み物を配ったりしながら被災者の方々に声をかけ、そこからがれき片付けや家財の整理などの仕事を請け負っている、ということでした。「仕事の効率とかではなく、ひとりひとりに出会い、寄り添うことを第一にしている」という柴本孝夫司祭の話に、ふっと5年前の東松島市東名・野蒜の現場が思い出されました。あの現場でも、働きの中心にいた立石彰牧師(当時・日本キリスト改革派東仙台教会牧師)が、同じことをモットーにしていました。そして、その働きは震災からの復興の働きの中で、全体から見ればキリスト教会が出来る役割など小さなものだけれども、その中でも教会だけが放つことの出来る独特の光があるのだな、とあらためて確信しました。
マスコミの報道からはほぼ消えてしまいましたが、熊本の被害は本当に大きく、多くの人たちが、苦しみのただ中にいます。在日大韓基督教会も「ひとりひとりに出会い、寄り添う」活動に、なんとか邁進できれば、と思います。皆さまの引き続きのご関心とお祈りをお願いいたします。