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「信教の自由・政教分離原則」を破壊する憲法改定案に対する声明

掲載日 : [13-10-16]   照会数 : 4972

日本国自民党による、「信教の自由・政教分離原則」を破壊する憲法改定案に対する声明
 
わたしたち、在日大韓基督教会は、神の恵みと祝福の内に名古屋の地にて開催された第52回定期総会において、信教の自由と政教分離の原則の問題をめぐり、自民党憲法改定案に対して、以下のように声明文を採択しました。

昨年12月、第二次安倍晋三政権が発足しましたが、安倍首相の所属する自民党は、現在、日本国憲法の改定の準備を進めています。わたしたちはキリスト者として、戦争放棄を謳った第9条が戦争の出来る国家として変更されようとしていることと共に、政教分離の原則に立つ信教の自由(第20条、第89条)が侵されようとしていることに対し、重大な危機感を抱いています。

信教の自由とは、信仰の自由、宗教的行為の自由、そして宗教的結社の自由から成っています。戦前の日本では、大日本帝国憲法制定以来、1945年の敗戦まで、天皇制・国家神道のもとに、政教分離の原則は壊され、信教の自由は侵害されていたために、天皇を「現人神」として崇拝させる国家神道・神社参拝・宮城遥拝は宗教ではなく、「国家の宗旨」、したがって国民が当然守るべき義務とされ、キリスト教をはじめ、他のすべての宗教はそれに服することを義務付けられました。それは偶像崇拝となるという理由で拒否したキリスト者は徹底的に弾圧を受け、拷問で苦しめられたのです。そして、日本における、ほとんどすべてのキリスト教会は、神社参拝・宮城遥拝による天皇崇拝政策に屈服し、遂には戦争協力に駆り立てられていったのです。その結果、天皇制のもとに推し進められた日本の侵略戦争は、日本国内ばかりでなく、朝鮮をはじめとするアジア地域に計り知れない犠牲をもたらす結果となったのです。

1945年の敗戦によって、連合軍は、天皇制・国家神道の問題の重大性に気づき、1945年12月に「神道指令」を発令し、国家神道を解体し、日本に政教分離の原則を確立しようとしました。そして、ついて1946年11月に現行の日本国憲法が公布され、翌年5月3日に施行され、第20条と第89条において、政教分離の原則に基づく信教の自由が確立されることとなったのです。

しかし、この度の自民党改憲案においては、信教の自由を保障する主体が「国」(国家)として位置付けられ、さらに深刻な問題として、政治と宗教の分離の原則が、第20条に新たな項目(第3項)が設けられることによって、国家権力によって踏み越えられてしまう余地が作られているのです。すなわち、「社会的儀礼、又は習俗的行為の範囲を超えないもの」については、国家は宗教に介入したり、関わり支援することができるように変更されているのです。ではいったい何が「社会的儀礼」であり、「習俗的行為」であるかを、誰が決めることができるのでしょうか。戦前の日本においては、国家神道・神社参拝を、宗教ではなく、国民の儀礼として国家が定義したことによって、キリスト教会をはじめとする他の宗教は天皇制国家神道に服従することを前提に宗教活動が許され、結果的にアジアへの侵略戦争を擁護していくために総動員されることになったのです。在日大韓基督教会の信仰告白は、その歴史を、「個人と国家が犯した罪の縄目」としてとらえ、悔い改めの信仰をもって記憶しているのです。

もし、この自民党改憲案が成立してしまったならば、神社参拝を、再び日本国民の社会的儀礼、また習俗的行為としてみなすことを可能にし、日本の学校が全生徒に神社参拝を社会的儀礼として義務付けるようなことが起こりえるのです。そうなれば、そのような政策や行政は、憲法的に擁護されてしまうこととなり、偶像崇拝を、聖書の信仰に立ち拒否するキリスト者の行為は、反社会的行為とみなされ、またそのような評価は憲法によって後押しされ、結果的にキリストの信仰に立ち、偶像崇拝を拒否しようとするキリスト教会が多大の被害をこうむることが予測されます。

自民党改憲案においては、そのほかにも、現行憲法において「国民の象徴」と位置付けられていた天皇が、「国家の元首」として位置付けられ、大日本帝国憲法の考え方に逆戻りするイデオロギーがあらわになっています。この問題と、政教分離原則の歪曲、そして「戦争放棄」理念の放棄の問題とは密接につながっているのです。

わたしたち、在日大韓基督教会は、宣教の歴史をこの日本の地に、1908年から開始し、1934年よりひとつの教団として誕生させ、この日本の地に朝鮮半島から流浪してきた民の中から、キリストによって呼び集められ、神の国の平和を求めながら歩んできました。しかし、天皇制国家神道に立つ日本国家の圧政のもとに1940年から(在日)朝鮮基督教会は閉鎖を余儀なくされ、また神社参拝・宮城遥拝を拒否したり、拒否を疑われた教役者や信徒が迫害を受ける苦難の道を歩みました。主イエス・キリストはしかし、1945年8月の解放後、在日大韓基督教会を神の御計画の内に復活させてくださり、新たな使命を与えてくださいました。

そのことを覚え、わたしたち、在日大韓基督教会は、聖書の御言葉に立ち、唯一、真の神のみを神を信じ従う信仰によって、信教の自由を奪い、政教分離の原則を破壊し、結果的に偶像崇拝を強いることも可能にする現行日本国憲法第20条・89条の改悪に対して、深く憂慮し、断固反対するものであり、日本と、韓国をはじめとするアジアと世界の諸教会にこの問題を訴えていく所存であります。
 
2013年10月16日
 
在日大韓基督教会 第52回定期総会参加者一同

 

<参考>
現行日本国憲法 第20条

信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。


自民党改憲案 第20条

何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。
 


現行日本国憲法第89条
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。


自民党改憲案第89条
公金その他の公の財産は、第二十条第三項ただし書に規定する場合を除き、宗教的活動を行う組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため支出し、又はその利用に供してはならない。


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