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2015年 クリスマスメッセージ

掲載日 : [15-12-25]   照会数 : 3322




2015年 クリスマスメッセージ
あなたがたのためにメシアがお生まれになった
ルカ福音書2:8-20

金必順牧師(堺教会、副総会長)
 
 
この世の中で、楽な仕事なんてあるのでしょうか? 仕事というのは、懸命にすればするほど、しんどいものです。人々は皆それぞれに、仕事の現場で命を削って働いています。
 
ところが、仕事によって、賃金は天と地ほどの開きがあるのです。低賃金で、しかも危険な重労働に従事している人たちは、賃金の低さ以上に、仕事へのプライドや自分に対する評価までもが低くなってしまいがちです。
 
2000年前のユダヤ、羊飼いの仕事は、きつい、汚い、危険の3Kで、社会の最底辺の労働でした。羊飼いが尊敬され、大切にされるなんてことはありません。ですから、救い主・メシアが生まれるという預言があることは知っていましたが、それは他の偉い人たちのことで、自分たちとは関係がないと思っていました。羊飼いたちは、人生をあきらめていたのです。
 
人生に何も望まないその羊飼いたちに、突如、天使が現れて告げました。「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。」自分たちのために、天使が何かを告げるなんて、夢にも思いませんでした。
 
「自分たちはどうせ、神様からも人からも見放された、どうでもいい人間だと思っていた。だのに、神様は自分たちを見捨ててはおられない。なぜって、こんなに大事なニュース、全人類にとっての最高の喜び、メシアのお生まれを、今、一番に教えてくれているんだから! 自分たちは、神様から覚えられている、大切に思われているんだ。」
 
その瞬間、羊飼いたちは人間としての誇りと自信に満たされました。そして、告げられた通り、メシアに会うため、ベツレヘムへと急いだのです。
 
彼らが行き着いたのは、人が住む所ではありません。そこは家畜小屋でした。どうして、こんな所で「メシア」である神の子が産声をあげたのでしょう。
 
メシアとは、油注がれた者。王様以上に偉い方。だから、立派な宮殿で生まれるはずです。ところが、ここは家畜小屋ではありませんか!羊、ヤギ、馬の糞が臭い、見えないけれど、ノミ、ダニ、シラミ、ムカデなどが這い回っている場所。何とか、地べたではなく、飼い葉桶を急ごしらえのベッドにしたて、マリアが用意していたみすぼらしい布に包まれてはいたのですが。
 
想像もできない、まったく逆の現実を前に、羊飼いたちの頭は真っ白です。その時、あの天使たちの声が心に響きました。「あなたがたのためにメシアがお生まれになった。」
 
「自分たちも、そうだった。家もなくさ迷っていた時、どこだか分からない所で生まれたんだっけ。いや、家があったとしても、家賃が払えなくて追い出されたし、家ったって、どうせ掘立小屋のようなもの。生まれた時も惨めだけど、これまでずーっと人間らしく扱われたことなんてなかった。今だって、ほら、羊と同じで、荒れ野で野宿しているじゃないか。だのに、メシア、救い主って方は、こんな惨めな自分たちと同じようにして生まれて来られたんだ。だのに、なんて清らかで美しいんだ。」
 
神様は、立派な玉座に座る皇帝や、国々の支配者ではなく、世界の隅っこで、飼い葉桶に寝かされた無力な幼子を、救い主として与えてくださいました。
 
神様は私たちに語っておられます。「あなたたちの弱さと無力から出発しなさい、メシアはあなたたちの生活のど真ん中で生き、共に救いの歴史を歩むために生まれになったのだ」と。救い主は、「一番小さい者」の痛み、苦しみ、寂しさ、怒りにしっかりとつながって歩んでくださる方です。羊飼いたちが礼拝したみすぼらしい家畜小屋は、私たちの礼拝の原点、信仰の出発点であるのです。


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